私は漫画を読みますが、その中でとりわけ好きなのが、
「漫画を描く人の話の漫画」がとても好きです。
漫画を人並み以上に読んできた中で、心からプッシュしたい、
どうにか機会があったら是非読んでほしいと思う漫画、
プロ・アマチュア問わず、漫画を描く全ての人に
捧げる1冊を今回はセレクトし、全力レビューしたいと思います!
- 「ひとりずもう上・下」さくらももこ著
- 「ひとりずもう」あらすじは?
- 「ひとりずもう」の魅力とは?
- この漫画は、指導書ではない。
- タイトルから見える情熱
- 漫画を描く・読む人の心の支えになる、癒される漫画
- 初めてのレビューでしたがいかがでしたでしょうか?
「ひとりずもう上・下」さくらももこ著
今回ご紹介する一冊は、惜しくも今年の8月に死去された
さくらももこ先生の描かれた、「漫画を描く人の漫画」
「ひとりずもう」集英社文庫(コミック版)上・下です。
「ひとりずもう」あらすじは?
小学校5年生~中学生~高校生~を経て、さくらももこさんが
さくらももこ先生として漫画家デビューするまでの実録漫画になります。
「ちびまるこちゃん(=さくらももこ先生)」を始め、たまちゃんなど、
「ちびまるこちゃん」のキャラクターも実際にストーリーに登場します。
「ひとりずもう」の魅力とは?
私なりに私の言葉で、大きくわけて5つの魅力をご紹介致します!
魅力1:さくらももこさんの独特な感性が素晴らしい!
さくらももこさんはエッセイストとしても沢山の書籍を遺されましたが、
そのエッセイからもわかるように、一般的な人では見落としそうな部分に着目し、
そして愛でる独特な感性が本当に素晴らしいとこの漫画を読んで感じ取れます。
例えば高校生のとき、さくらももこさんは、周囲がオシャレに夢中な中、さくらさんもオシャレを嗜みつつ、お年玉をもらったら、そのオシャレではなく友達のたまちゃんと小鳥を買いにお金を使います。
周囲に流されず、自分が「好きだ」「可愛い」「愛おしい」とおもう生き物や
植物を大事にし愛でる感性…本当にピュアで素晴らしいと感じました。
魅力2:穏やかに成長するさくらさんの心の動き
「ほのぼの成長期」として紹介されているこちらの漫画ですが、
個人的に「ほのぼの」を感じるのは上巻までです。
下巻からは高校生の進路を決めるにあたってじわじわと「何者になれるのだろう」「どんな進路へ進むべきだろうか」と自分の将来を意識し始めるあたりから話は転換期を迎えます。
今までのんびりほのぼの生きてきたさくらももこさんが
自分の壁にぶつかり、そしてその壁が「漫画家になりたい」
であったことに気付く…
そこまでの心の揺れ動き、穏やかに健やかに成長されたさくらももこさんの
大きな気づきから、話は大きく変わってきます。
魅力3:高校生の時点で、彼女はもう「漫画家」だった!
そこからの行動力・実行力は本当に素晴らしい。
「漫画家」とは過去も今も簡単に就ける・続けることが困難な職業です。
もちろんさくらさんも最初の一歩である「デビュー」のため奮闘します。
そして彼女の奮闘は高校生という若さで、すでに始まってました。
「漫画家」へ向ける情熱は10代の時からスタートしていたんだ…
とこの本を読んで知り…衝撃が走りました。
そして10代にして達観しているようなプロフェッショナルでストイックな
漫画家デビューに向けて奮闘する姿勢は、本当に、もう、この時点から
彼女は漫画家だったんだ!
と思い知ります。
思い知ったときは、もう、本当に震えました。
魅力4:読者に寄り添うエッセイ調の漫画が癒される。
下巻から完全に「奮闘記」となるわけですが、この漫画とさくらももこさんの
凄さは、上巻からのほのぼのとした流れを完全にシャットアウトするわけではなく
あくまでもさくらさんらしい話運びに癒されさえする、という点。
彼女の独特で可愛らしい着眼点や、「ちびまるこちゃん」でおなじみのクスっと
笑える点を削ぐことなく、むしろ盛り込みつつ、「奮闘記」として完成している…。
なんて凄い実録漫画なんだ…
と唖然としてしまいます。それくらい、私にとっては衝撃がありました…!
魅力5:同時期に奮闘していた漫画家さんの姿がももこ目線で見える!
「NANA」や「天使なんかじゃない」「ご近所物語」で有名で、現在
漫画家業をお休みされている矢沢あい先生の名前がこの漫画の下巻に登場します。
りぼんっ子、矢沢あい先生のファンでしたら、デビュー前の貴重な姿を
「さくらももこさんの目線」で知ることが出来ます。
これは矢沢あい先生ファンの方なら、とても興味深いエピソードかと思います。
私自身、矢沢あい先生のファンで漫画も読んでおりますし持っております。
なのでさくらももこ先生のこの漫画で矢沢あい先生の名前が出たときは
「おお!?」ととてもビックリし、そして感激したのが記憶にあります。
この漫画は、指導書ではない。
この漫画はさくら先生が「こうこうしたら漫画になれたよ」という
漫画家になりかたの指導書ではありません。あくまでエッセイであり実録であり
ほのぼのとした成長記録の漫画です。
ですが、作品全体から漂う、さくら先生の温かい人柄やピュアな着目点や
癒される作画に、プロ・アマチュア問わず励まされ、
元気や人の暖かさを沢山もらえる太陽のような漫画になっています。
タイトルから見える情熱
本来「独り相撲」とは
相手も居ないのに、または他の人には熱意がないのに、自分だけが力を入れ勢い込むこと。
という意味になります。
このタイトルから見えるのは、やはりストイックな姿勢で、情熱を絶やさず
「デビュー」に向けてまさに一人奮闘した、という勢いが伝わってきます。
ほのぼのとした可愛らしい絵柄とギャップのあるタイトル…
このギャップも、この作品の大きな魅力の一つだと思います。
可愛らしい朗らかな絵柄から想像できない「ひとりずもう」。
私はこの作品を読み終えた後、
そうか…さくら先生はそうだったんだ…
と心からの尊敬と、この作品を生み出してくれた感謝の気持ちが溢れてきました。
こちらの漫画は去年購入し読んでいたので、訃報は本当にショックでした。
漫画を描く・読む人の心の支えになる、癒される漫画
漫画を描く人はもちろん、漫画を描かない人も、エッセイ漫画として楽しく読める
「ひとりずもう」。
少しでも興味が湧いて下さったら本当に幸いです。
初めてのレビューでしたがいかがでしたでしょうか?
情熱100%で全力レビューをさせて頂きましたが…
いかがだったでしょうか💦
一人でも多くの方がこの一冊の存在の凄まじさを知ってほしい!
という思いで記事にさせて頂きました!
私の文章力では上手くお伝えできないくらいもどかしい名作…それが「ひとりずもう」
漫画が好きな方、プロ・アマチュア問わず漫画を描く全ての人に
読んで頂きたいと思う名著のご紹介でした!
それではまた!